読む日々、書く日々

人生の折り返し? まだまだこれから! 読んで、書いて、楽しもう♪

教養がなくても人生を楽しめる?

弟の出身大学はキリスト教系の大学。

卒業してからも、毎月わが家に大学から広報誌が届きます。

父はなぜだかその広報誌を気にって、毎月精読しています。

先月もその広報誌目を通していた父。

しかし、途中でなにやら怪訝そうにしている……

 

「おい、ここに『ヘビはありとあらゆる生き物のなかでも賢い動物です』ってあるが、ほんとうか?」

「それって、アダムとイブの話からとって、ずるがしこいって言いたいんじゃないの?」

そう答えると、父は不思議そうな顔をしています。

「アダムとイブ……どちらさん?」

「は? 何言ってんの? アダムとイブだよ、エデンの園の」

「知らないなー、というか、エデンの園って、どこのこと?」

「いや、それはこっちが知りたいわ。というか、本当に知らないの? 聖書の話だよ?」

「聖書なんて読んだことないもん」

「もん、じゃなくて……ノアの箱舟とか……え? 昔ハリウッド映画で「天地創造」ってあったじゃん、それ見た世代じゃないの?」

「知らん」

「それじゃあ、いままで西洋の絵画とか、映画とか小説読んでも、意味が分からないことだらけだったんじゃない?」

「そもそも西洋のものは見ない。ややこしい話になりそうだから、もういい」

それで、この話は打ち切り。

 

西洋のものは見ない、というのはほんとうで、古い映画(ヒッチコックとか)以外は洋画は見ませんし、そもそも読書の習慣もありません。

洋の東西問わず、絵画を見ることもしない父。

ド忘れしたのではなく、ほんとうに知らないようでした。

 

今年いちばんビックリした出来事でありましたね。

まさか、父がアダムとイブすら知らないとは……教養以前の問題のような気が。

 

しかし、こんな父でも、かなり名前の通った企業で部長として30年以上つとめあげ、退職金で買ったそこそこいい家で、ローンのない自由なご隠居ライフを楽しんでいます。

日々、楽天イーグルスの勝敗を気にし、相撲の結果に一喜一憂し、暇が出来たら演歌を聴く。

教養がなかろうが、毎日充実している様子。

 

かたや、話の発端になった広報誌の大学を卒業した弟は、上昇志向が強いため、子育てのあいまに暇をみつけては、せっせと教養を磨いている……

いまのプロジェクトに必要な知識の勉強のほか、リベラルアーツ関係の本を読んだり、自己啓発本やビジネス書を読んだり、いろいろ大変そうです。

 

団塊世代の父は、西洋文化の知識がなくても、それなりにいい暮らしができてきた。

かたや、氷河期時代の最後のほうに属する弟は、他者との差別化をはからなければならないために、教養で武装をせざるをえない。

世代の差とはいえ、これだけちがうものなんだなと、妙に感心してしまいました。

 

ご隠居生活を満喫しているうちの父は、もうだれかのための教養を身に着ける気はなさそうです。

個人的には、自分のために教養を身に着けたほうが面白いのに……いろいろ深く理解できるし、残りの人生をもっと楽しめるだろうから、もったいないなと思っています。

(とか書いているあいだに、父が、映画「天地創造」をレンタル屋で借りてこようかなー、などと言っていました。気まぐれでないことを祈る……)